県内大学発 経世済民
■最貧地域
経済的に豊かで恵まれた日本で暮らしていると、つい忘れてしまいがちだが、世界には貧困にあえいでいる人たちが、まだまだたくさんいる。
世界銀行の最新のレポートによれば、2008年において貧困ライン(1日当たりの支出額が1・25ドル)に満たない暮らしをしている、いわゆる貧困者の数は、発展途上地域全体で12億8千万人を超えている。日本の総人口のざっと10倍の規模である。これらの地域の貧困者比率は22・4%で、実に5人に1人以上が貧困状態である。
貧困者の分布は地域による偏りが極めて大きい。最も多くの貧困者を抱えているのはインドやバングラデシュなどを含む南アジアで、その数は5億7千万人にものぼる。次いで多いのが3億8千万人のサハラ以南アフリカで、世界の貧困者のおよそ4分の3は両地域に集中している。
くしゃみへの応答
また貧困者比率を見ると、南アジアが36・0%、サハラ以南アフリカが47・5%で、いずれも他の地域を圧倒する高さである。これらの最貧地域の貧困をいかに削減するかは、現代社会が直面する大きな課題である。
■東アジアの急成長
一方、中国や東南アジア諸国を含む東アジア・太平洋地域では近年、貧困が大幅に減少している。1990年に56・2%に達していた同地域の貧困者比率は、99年には35・6%に低下し、2008年には14・3%にまで下がった。こうした劇的ともいえる貧困の減少は、同時期にこの地域で見られた急速な経済発展によるところが大きい。
ASEAN諸国や中国の目を見張るような経済発展が国民の所得水準を向上させ、貧困からの脱却と中間層の形成を可能にしたのである。
リリース減量GNC
深刻な貧困に悩む南アジアやサハラ以南アフリカの国々が同じような経験をするためには、先進国の積極的な関与が欠かせない。日本も欧米各国とともに、インフラの整備や産業・雇用の創出、技術移転、ODA(政府開発援助)などを通じて、同地域の経済発展、そして貧困削減に貢献することが期待される。
これまで東アジア・太平洋地域に偏っていた日本の直接投資や経済援助は、今後はこれらの最貧地域に向けられる必要があるだろう。
■身近な取り組み
最近では政府や企業ばかりでなく、消費者のレベルで途上国の貧困問題に積極的に取り組む動きが見られる。
例えばフェアトレード(公平貿易)運動では、途上国で生産された農産物や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じて、貧困に苦しむ生産者や労働者の生活を安定させ、自立を促す取り組みを行っている。
"先進的な痛みのケア"
私たちは、国際フェアトレード基準(経済・社会・環境面の必要な基準)を満たして生産されたことを示す認証ラベルが貼られた途上国製品を買うことによって、この取り組みに気軽に参加することができる。
フェアトレード認証製品は今では、コーヒーや紅茶、チョコレート、コットン製品などを中心に、専門店のほか大手スーパーやコーヒーショップでも売られている。
大学のキャンパス内でも貧困削減へのさりげない取り組みがある。「TABLE FOR TWO」と呼ばれる日本発の社会貢献プログラムで、学生食堂において対象となるヘルシーメニューを私たちが食べることによって、その料金のうち20円分が途上国の子どもたちの学校給食のために寄付されるというものである。
先進国にまん延する肥満や生活習慣病と途上国の貧しい栄養状態を同時に解消しようとするこのプログラムは、現在では海外にも広がりを見せている。
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